コラム

相談支援専門員の1日を徹底解剖 朝の確認から訪問・モニタリング、記録・計画・会議、残業対策まで

朝は何から始め、出勤直後に何を確認する?

ご質問の「相談支援専門員の朝は何から始め、出勤直後に何を確認するのか」について、現場の実務フローと法令・ガイドラインに基づく根拠を織り交ぜて詳しく説明します。

以下は特定相談支援(計画相談支援)・障害児相談支援・地域移行/定着支援など、障害福祉分野の相談支援専門員に共通する朝の基本動線です。

事業所規模や役割分担によって差はありますが、大枠の考え方とチェック観点はほぼ共通です。

出勤直後の最初の行動(全体像)

– セキュアログインと連絡チャネルの一括確認
出勤して最初に行うのは、事業所の電子記録システム(ケース記録/スケジューラ)、メール、留守番電話、FAX、グループウェア、チャット(Teams/Slack等)があればそれらの未読・未確認を一括で確認することです。

夜間・前日夕刻の連絡には、入院・救急搬送、家族の急変、虐待通報、サービス提供中断(ヘルパー欠員・感染症発生)など即時対応が必要な情報が含まれる可能性があるため、朝一番での網羅的チェックが最優先になります。

当日のアポイントと移動計画の確定
その日の訪問・来所・オンライン面談・担当者会議の時刻、場所、参加者、持参資料をカレンダーで再確認し、公共交通の運行状況・道路状況・天候(警報・注意報)を踏まえて移動計画を確定します。

訪問順序の入れ替えや遅延見込みの事前連絡もこのタイミングで行います。

リスク・期限の確認と優先順位づけ
モニタリング期限(原則6か月ごと)や支給決定の有効期間満了、契約更新の期日、国保連請求の締め(概ね毎月10日前後の実績確定)など、法定・運用上の期限をアラートリストで確認し、当日の優先順位を確定します。

出勤直後に具体的に確認する項目(詳細)

– 緊急性が高い連絡
留守電・夜間メール・FAXのうち、入院・事故・行方不明・虐待の疑い・自傷他害リスク・居宅でのライフライン停止など、生命・身体・生活の安全に関わる案件を最上位で確認。

必要に応じて本人・家族・医療機関・行政(市町村障害福祉担当や虐待対応窓口)へ即時連絡します。

新規相談の一次スクリーニング
行政からの紹介、病院MSW・地域包括・学校等からの新規依頼が入っていないかを確認。

虐待・退院間近・退所調整中など緊急性の高いものは朝のうちに初動(受付票作成、情報収集、初回訪問の日程打診)を開始します。

当日の面談・会議の確定事項
サービス担当者会議の時間・場所・Web会議URL、参加予定事業所・担当者の変更の有無、議題(支給決定更新・計画見直し・リスク対策)を確認。

欠席連絡があれば代替参加者の手配や資料送付を行います。

訪問準備物の最終チェック
サービス等利用計画(案)・アセスメント票・モニタリングシート・同意書・個人情報同意書・パンフレット・地域資源リスト・名刺・押印が必要な書類などを、ケースごとに封入。

タブレットやノートPCの充電、モバイルWi-Fi、地図・経路も確認します。

紙の持ち出しは必要最小限にし、持出簿を記録します。

モニタリング・支給決定等の期限
モニタリング期日までの残日数、支給決定の有効期限、ケア会議の開催期限を一覧で確認。

期日超過リスクのあるケースは午前中に優先連絡・日程調整を進めます。

実績・請求関連(締め日前)
月次請求の締めが近い時期は、実施記録の未入力、モニタリング未実施、計画書未交付など請求不可要因を洗い出し、当日実施・翌日実施の見通しを付けます。

感染症・災害関連のアラート
インフルエンザや新興感染症の流行報、施設の面会制限、発熱者の有無、天候警報・避難情報を確認し、訪問方法(対面/オンライン/延期)の最適化やPPEの準備を行います。

事業所内共有(朝礼)
夜間引継ぎ、事故・ヒヤリハット、苦情対応の進捗、地域情報(資源の新設・休止)を短時間で共有。

KYT(危険予知)や当日の役割分担もここで確認します。

こうした朝の確認が必要な根拠(法令・通知・ガイドライン等)

– 計画相談支援の手引き(厚生労働省)
相談支援専門員はアセスメント、サービス等利用計画の作成、モニタリング、必要時の計画見直しを継続的に行うことが求められています。

特に「モニタリングは原則6か月に1回以上」の考え方が周知されており、期日管理と担当者会議の適時開催、サービス調整の迅速化が必要です。

朝の時点で期限と進捗を確認するのは、この継続的PDCAを滞りなく回すための運用上の必須事項です。

指定特定相談支援・指定障害児相談支援の人員・設備・運営基準(厚生労働省令・告示)
これらの基準では、相談記録の作成・保存、個人情報の適正管理、苦情解決の体制整備、緊急時の対応体制、業務管理体制の整備が求められます。

朝一での連絡確認、事故・苦情の初動、個人情報の持ち出し統制、チーム内共有は、この運営基準を満たすための実務です。

障害者総合支援法
計画相談支援は市町村の支給決定と不可分であり、サービス等利用計画に基づく適正な給付と継続的な点検が法制度の前提です。

支給決定期間の満了管理や計画の見直しは法制度運用上の必須事項で、朝の期限確認はその実現手段です。

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
利用者の個人情報の漏えい防止、目的外利用の禁止、安全管理措置が定められており、記録媒体の持ち出し制御、メール誤送信防止、アクセス制御(ID・パスワード管理、二要素認証等)が求められます。

朝のログイン時点でのセキュリティ遵守、資料持ち出しのミニマム化はこの法に基づく実務です。

相談支援専門員の倫理綱領(日本相談支援専門員協会 など)
利用者の権利擁護、最善の利益、守秘義務、専門性の維持が掲げられ、虐待・生命身体の危機には迅速に対応することが倫理上求められます。

従って緊急情報の最優先確認は倫理的要請にも合致します。

国保連請求の実務運用
計画相談支援の報酬請求は月次で国保連合会に提出するため、実績の期日管理・モニタリング実施の確認・書類の整備が不可欠です。

締め日前の朝に未処理リストを確認するのは、請求漏れ・差し戻しの防止のための実務的根拠があります。

災害・感染症対応(BCPや各種通知)
相談支援事業所にも事業継続計画(BCP)や感染症対策の整備が求められ、警報・交通障害時のサービス提供方法の見直し、職員の安全確保が必要です。

朝の時点で気象・交通情報を確認し、訪問方法を調整するのはBCP的要請です。

実務的な朝の進め方(例)

– 830 出勤・端末起動・セキュアログイン
二要素認証、メール・グループウェア・電子記録の未読一括チェック。

緊急案件にフラグ付け。

835 緊急対応の初動
入院・事故等の連絡先に電話、必要に応じて行政や関係機関へ情報共有。

ケース記録に要点を即時記載。

845 当日スケジュール確定
カレンダーと移動経路・天候確認。

遅延見込みがあれば関係者へ連絡。

オンライン切替の可否判断。

850 期限と実績の確認
モニタリング・支給決定期限アラート、請求未整備のケースを抽出し、午前・午後のToDoに落とし込む。

855 朝礼・チーム共有
緊急案件、苦情・事故報告、資源情報を共有。

担当振り分け・連絡役の決定。

KYTを1テーマだけ短時間で。

905 訪問準備
計画(案)・同意書・モニタリング票・名刺等を封入し、持出簿記入。

個人情報は最小限、データは暗号化。

915 1件目の訪問・会議へ出発

現場でのコツ・留意点

– 優先順位は「命・安全」→「期限」→「関係調整」→「書類」
– 連絡は「先手」で。

訪問前に必ず当日確認の一報を入れるとドタキャンを減らせます。

– 記録は当日中に。

朝の初動対応も5行でよいので即時に要点記録。

– 個人情報は「持ち出さない」「見せない」「残さない」。

紙は必要最小限、カフェでの開示は避ける。

– 被災や流行期はオンライン面談のテンプレートと同意の取り方をあらかじめ用意。

まとめ
相談支援専門員の朝は、1) 緊急・重要情報の一括確認、2) 当日の予定・移動の確定、3) 法定期限・請求関連のリスク洗い出し、4) チーム共有、5) 訪問準備、の順で進めるのが基本です。

こうした運用は、厚生労働省の手引きや運営基準、個人情報保護法、専門職倫理、国保連請求の実務に裏付けられています。

朝の10~20分でこれらを確実に回すことで、その日の支援が安全かつ計画的に進み、モニタリングや計画見直しの質と期限遵守にも直結します。

午前中の電話対応・関係機関連絡・面談準備はどう進める?

以下は、相談支援専門員の午前中業務のうち「電話対応」「関係機関連絡」「面談準備」を、現場でそのまま使える手順と注意点、そして根拠(法令・ガイドライン・研修テキスト等)に基づいて体系的にまとめたものです。

現実的なタイムブロック、チェックリスト、記録のポイント、優先順位付けの考え方も含めています。

午前全体の設計(タイムブロック例)

– 830–900 前日未完了タスクと今日の期限の確認、緊急度の仕分け、受電メモテンプレート準備
– 900–1000 電話対応のコア時間(受電と発信の両方)。

緊急・期限案件を優先
– 1000–1100 関係機関連絡(サービス担当者会議の日程調整、医療・教育・事業所との情報連携)
– 1100–1200 面談準備(アセスメント資料整理、同意書・説明資料印刷、会場・配慮の最終確認)
– バッファ15分をどこかで確保(突発対応・記録整備用)

電話対応の進め方
2-1. 事前準備

– 受電体制と時間帯の明確化(午前はコア受電時間を設け、緊急以外はその時間に集約)
– 連絡先リストの最新化(本人・家族・主治医・サービス事業所・市町村障害福祉担当・学校等)
– 同意の範囲確認(情報共有に関する同意書と、本人の意向・家族との共有範囲を台帳で即時参照)
– 記録テンプレート準備(日時、相手、要点、緊急度、意思決定、対応、次回アクション、共有先、期限)

2-2. 受電時の標準フロー
– 名乗りと本人確認(個人情報保護の観点で、氏名・生年月日など二要素で確認)
– 要件の短時間把握(5W1Hで要約。

初動3分を目安)
– 緊急度トリアージ
– レッド(即時対応) 生命・安全の危機、自傷他害、虐待疑い、急な住居喪失、医療的緊急。

対応は119/110や虐待通報、上長・自治体へ速やかに報告
– イエロー(48時間以内) 入退院予定、サービス急な中断、家族の限界、学校・職場での顕著な不適応
– グリーン(定期枠) 定期面談予約、情報提供、書類照会
– 方針提示と合意(何をいつまでに・誰が行うかを明確化。

必要に応じて発信連絡の予告)
– クロージング(復唱で齟齬防止、次回接点の確認)

2-3. 発信連絡の基本
– 目的と要件を冒頭で明確化(例 モニタリングに向けた状況確認、会議日程候補提示)
– 期限・必要情報・同意の範囲を先に共有(相手の準備時間を確保)
– 確認は文面で残す(メール・FAXで要点を簡潔に送付)

2-4. 記録の作法
– SOAPまたはI-SBARで簡潔に(S 相談内容、O 客観データ、A 評価・緊急度、P 対応・期限)
– 次回アクションをタスク化(担当、期限、共有先)
– 機微情報は最小限で、目的外の記載を避ける(個人情報保護)

2-5. よくある場面の勘所
– 体調悪化・受診同伴要請 医療的必要性と安全性を優先。

本人の同意を確認しつつ、医療機関に事前連絡
– サービスのドタキャン・中断 事業所と本人双方の意向を聴取し代替案提示。

モニタリング計画に反映
– 虐待・権利侵害の疑い 事実関係の把握は最小限に留め、速やかに通報・連携。

記録は正確・即時

根拠(電話対応)
– 計画相談支援の手引き・ガイドライン(厚生労働省) インテーク、モニタリング、サービス担当者会議の運用、緊急時対応の必要性
– 指定特定相談支援の人員・設備及び運営基準(厚生労働省令) 記録整備、秘密保持、関係機関連携、苦情対応体制
– 個人情報保護法 本人同意、目的明確化、最小限の情報提供
– 相談支援従事者研修テキスト 受理面接、危機介入、記録方法の基礎

関係機関連絡の進め方
3-1. 優先順位付け

– 期限ベース 支給決定・モニタリング期限、入退院、学校・就労の学期・期首前後
– 影響度ベース 生活の安全・医療リスク・居住継続性・就学就労継続へ影響度
– 相手の稼働時間 医療機関の午前外来前後、学校の校務時間、事業所の朝礼後などに配慮

3-2. 連絡先マップ(例)
– 行政 市町村障害福祉課、地域自立支援協議会、虐待対応窓口
– 医療 主治医、病棟MSW、訪問看護
– 教育・就労 学校担任・コーディネーター、特別支援コーディネーター、就労移行支援・A型・B型
– 生活支援 居宅介護、重度訪問、短期入所、グループホーム、送迎事業者
– 権利擁護 成年後見センター、地域包括(高齢・障害の重複時)、弁護士会窓口

3-3. 手段の選択
– 電話 迅速な合意形成。

要点は後続のメール・FAXで記録化
– メール 文書化・非同時連絡。

個人情報は最小限、暗号化・パス付き添付を徹底
– FAX 医療・学校で現行使用多い。

誤送信防止のダイヤル確認・送信表カバー
– ICT連携ツール 自治体や圏域で採用がある場合はルールに従って使用

3-4. 具体的な朝の連絡ルーチン
– サービス担当者会議の日程調整 候補3本、オンライン可否、所要60分、議題・事前質問票を同送
– 入退院時の連絡 入院先MSWへ生活歴・配慮事項、退院支援会議候補日、必要サービスの素案
– 事業所空き状況確認 複数事業所へ同条件照会、本人の意向・可動域・送迎可否を明示
– 行政への相談 支給決定の進捗、加算(地域移行等)要件の確認、緊急一時の可否

3-5. 情報共有と同意
– 本人の同意を原則とし、目的・範囲・期間を説明して文書化
– やむを得ない場合(生命身体の保護等)は法令に基づき最小限の共有

根拠(関係機関連絡)
– 計画相談支援ガイドライン 多職種連携、サービス担当者会議の開催と記録、入退院時連携
– 指定特定相談支援の基準 運営規程、協力連携、記録義務
– 障害者総合支援法 地域生活の継続と自立支援、計画相談支援の位置づけ
– 個人情報保護法 第三者提供のルールと本人同意
– 相談支援従事者研修テキスト 合意形成、協働、アドボカシー

面談準備の進め方
4-1. 目的の明確化

– 初回インテークか、モニタリングか、計画見直しかで準備が変わる
– 本人の目標・困りごと・優先課題(安全・健康・住まい・学業就労・社会参加)を事前に仮設定

4-2. 情報整理(ICFの観点)
– 心身機能・活動・参加・環境因子を整理
– 既往歴、服薬、コミュニケーション手段、支援ネットワーク、強み・興味、リスク要因

4-3. 同意と権利説明の用意
– 重要事項説明書、個人情報同意書、情報共有同意書、苦情解決・第三者委員制度案内
– 写しを渡し、平易な言葉・やさしい日本語で説明

4-4. アジェンダ・質問リスト
– 例
– 近況(良かったこと・困ったこと)
– 目標の再確認
– 生活領域ごとの状況(健康、住居、日中活動、人間関係、金銭)
– リスクと安心の両面(何が不安か、何があると安心か)
– 次の一歩と役割分担
– 時間配分(60分想定) 導入10、現状20、計画素案説明15、合意形成10、事務5

4-5. 配慮と合理的配慮の具体化
– 手話通訳・要約筆記・視覚教材・絵カード・読み上げ資料・文字拡大などを事前手配
– 感覚過敏への配慮(照明・音・座席配置)、休憩導入
– 同席者の調整(本人中心。

家族・支援者は本人の同意を前提)

4-6. 会場・環境
– バリアフリー、プライバシー確保、換気・感染対策、時計とホワイトボード
– オンラインの場合は接続確認、機器トラブル時の代替手段

4-7. 資料・ツール
– アセスメントシート、サービス等利用計画(素案)、地域資源リスト、権利擁護パンフ
– タイムライン図、目標設定カード(短期・中期・長期)
– 同意書類一式と筆記用具、録音の可否(同意がある場合)

4-8. 安全とリスク管理
– 面談リスク(興奮・離席・暴言等)に備え、二人体制や緊急連絡ルールを確認
– 訪問時は行程表共有、退出キーワード、終了時の連絡

根拠(面談準備)
– 計画相談支援ガイドライン・手引き アセスメント、個別支援計画、モニタリング、本人中心の支援
– 障害者差別解消法 合理的配慮の提供
– 指定特定相談支援の基準 運営規程、苦情解決、記録、面談環境の整備
– 個人情報保護法 同意と目的明示
– 相談支援従事者研修テキスト ICF視点、本人主体、面接技法

記録と品質管理

– 記録は当日中に確定し、指定基準・自治体要綱で定める保存期間に従い保管(自治体により2~5年程度が多い)
– 指導監査に備え、根拠資料(同意書、議事録、連絡記録、計画書・モニタリング票)を紐づけ
– 指標の活用 受電応答率、モニタリング期限遵守率、会議開催までのリードタイム、苦情件数と解決率

現場で使えるショートチェックリスト

– 電話前 同意範囲・連絡先・期限の確認、テンプレ用意
– 受電中 本人確認→要点→緊急度→方針→復唱
– 受電後 記録→タスク化→必要な共有
– 機関連絡 優先順位→手段選択→文面で要点残す
– 面談準備 目的→ICF整理→資料→配慮→会場→安全

主な根拠資料(名称)
– 障害者総合支援法
– 指定特定相談支援及び指定障害児相談支援の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
– 計画相談支援ガイドライン・計画相談支援の手引き(厚生労働省)
– 相談支援従事者研修テキスト(基礎・専門)
– 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
– 障害者差別解消法

ポイントは、午前の限られた時間で「緊急度と期限に基づく判断」「本人の同意と権利尊重」「記録の即時性と正確性」「多職種との迅速で丁寧な合意形成」を徹底することです。

上記の手順・チェックリストを型として運用すれば、突発対応が多い日でも抜け漏れを最小化し、監査・品質の両面で安定した相談支援が実現できます。

午後の訪問支援やモニタリング面談はどんな流れで回る?

以下は、計画相談支援を担う相談支援専門員が午後に行う「訪問支援(対面調整・同行・関係機関連携)」および「モニタリング面談」の実務的な流れです。

現場での動き方に加えて、なぜそのように進めるのか(制度・ガイドライン上の根拠)も最後にまとめます。

午後の全体像(目的と位置づけ)

– 訪問支援(ここでは相談支援専門員の訪問による面談・調整を指します)は、本人の生活の場で状態を把握し、サービス等利用計画が意図した通りに機能しているかを確認・微修正するために行います。

– モニタリング面談は、計画相談支援のPDCAの「C(チェック)」にあたり、本人の目標達成状況、意向の変化、サービスの実施状況や質、リスクや不適合の有無を定期的に点検し、必要に応じて「A(アクト=見直し)」につなげるための中核業務です。

– 実施の基本は「本人中心」。

本人の意思・希望を起点に、家族・支援者の意見は補助的に位置づけます。

1件あたりの標準的な流れ(時系列)
A. 事前準備(訪問前)

– 記録の確認 直近のモニタリング記録、アセスメント、サービス担当者会議の要点、サービス提供状況(欠席・中止・ヘルプ要請など)、苦情・ヒヤリ情報の有無。

– 目標と評価観点の整理 サービス等利用計画に基づき、短期目標ごとに「何をどう確認するか」をメモ化。

例)服薬自己管理の定着度、通所の出席率、対人トラブル減少傾向など。

– 同席者・場所・時間の確定 本人の同意のもと、家族や事業所職員の同席調整。

自宅・グループホーム・日中活動先・病院など面談場所を確定。

– リスク・配慮事項の確認 感染症状の有無、虐待・権利侵害の兆候情報、意思決定支援の配慮(コミュニケーション方法、ピクトや筆談の準備、通訳・代弁の手配)など。

– 帳票の準備 モニタリング記録様式、チェックリスト、合意事項メモ、次回日程候補。

個人情報の取り扱い説明文言もリマインド。

– 直前連絡 5〜10分の到着前連絡。

遅延時は早めに共有。

B. 訪問〜導入(面談冒頭)
– あいさつ・場の設定 面談目的と時間配分を本人にわかりやすく説明。

録音やデバイス使用の有無、記録の扱いについて同意を再確認。

– 今日のアジェンダ再確認 本人が話したいことを先に聞き、議題に反映。

「今日はご本人の最近の様子→目標の振り返り→サービスの満足・課題→必要な手続き確認→次回予定」の順で合意。

C. 本題(本人中心の聴き取りと観察)
– 近況の把握 最近あった出来事、気分、体調、睡眠、食事、金銭、服薬、対人関係、余暇、通所・就労状況、家族関係の変化。

– 目標ごとの進捗確認 本人の言葉で評価してもらう(例 5段階自己評価や写真・ノートでの振り返り)。

うまくいった要因・うまくいかなかった要因を本人視点で整理。

– サービス利用状況のチェック 回数・時間・質・相性・曜日の適合。

支援内容が計画通りか、期待した変化を生んでいるか、変更希望はないか。

– リスク評価 転倒・火の不始末・服薬漏れ・金銭トラブル・近隣関係・孤立・自傷他害兆候・虐待の可能性など。

観察と本人の語りの両方から確認。

– 権利擁護と意思決定支援 選択肢を図や簡潔な言葉で提示、合理的配慮の提供。

代弁に偏らないよう、本人の意思表出を最優先。

必要に応じて第三者の支援(成年後見、地域包括、権利擁護センター等)へのリファーを検討。

D. その場での調整・合意形成
– 軽微な調整は即時対応 曜日・時間帯の変更打診、通所送迎の調整、担当者交代の検討等は電話で関係事業所にその場で連絡し、暫定合意をとる。

– 医療・福祉資源への橋渡し 受診予約の支援、就労移行の見学調整、金銭管理の相談窓口紹介、家族支援の案内など。

– 変更が必要な場合の方針確認 計画の軽微変更か、サービス担当者会議の開催が必要なレベルかを本人と一緒に判断。

E. クロージング(まとめ)
– 合意事項の読み合わせ 変更点、各者の役割、期限、次のアクションを明確化。

本人が理解しやすい表現で確認。

– 次回日程の仮押さえ 支給決定期間や通院・行事を考慮。

必要があれば会議日程の候補も提示。

– 面談の所感共有 良かった点と次回のテーマを短く肯定的にフィードバック。

F. 訪問後の事務・連携
– 記録作成 当日中が基本。

本人の語りと観察事実、評価、合意・宿題、リスクへの対応、次回予定を簡潔に。

第三者が読んで追跡可能な記載に。

– 関係機関連絡 必要な変更点を事業所に共有。

本人の同意範囲内で、情報の目的外利用に注意。

– 計画の見直し要否判断 軽微変更で足りるか、会議を開くか、市町村への手続き要否などを上長と確認。

– 追加タスク 医療機関予約、役所手続きの下準備、家族への補足連絡など。

面談時の具体的観点と質問例

– 生活・健康 体調の変化は?
睡眠や食事は?
服薬は忘れずできた?
最近困ったことは?

– 日中活動・就労 通所(就労)の出席は?
人間関係は?
新しくできたこと・難しかったことは?

– 住まい・安全 火の元、鍵、金銭管理で不安は?
冷蔵庫の中身や部屋の状態は大丈夫?

– サービス評価 ヘルパーさん(支援員)との相性は?
時間帯や回数は合っている?
変えたい点は?

– 対人・権利 嫌な思いをしていない?
断りたい時に断れている?
困った時の相談先は分かる?

– 目標進捗 前回の目標(例 週2回の通所継続)どのくらい達成?
その理由は?
次はどうしたい?

– リスク・支援強度 緊急連絡網は機能している?
ヒヤリはあった?
再発防止に何を足す?

スケジュール例(午後)

– 1300〜1320 移動・到着前連絡・直前の記録確認
– 1320〜1420 ご本人宅でモニタリング面談(本人中心、同席者あり)
– 1420〜1435 その場での関係機関への連絡・微修正合意
– 1435〜1500 移動・車内でメモ整理
– 1500〜1600 日中活動先での訪問支援(支援者からの聴き取り、現場観察)
– 1600〜1620 移動
– 1620〜1710 事務所で記録作成、関係者へ共有、必要な申請の下準備
– 1710〜1730 翌日の準備、会議日程調整、電話フォロー

実務上の留意点

– 本人中心・意思決定支援 選択肢提示と分かりやすい情報提供で本人の意思を引き出す。

代弁に偏らない。

– プライバシーと同意 同席者・情報共有の範囲は事前に本人の同意を得て限定。

– 虐待・権利侵害の兆候 兆候があれば速やかに関係機関と連携。

福祉・医療等の関係者には通報義務が課せられる点に留意。

– 感染症対策 手指衛生、換気、マスクの要否は本人の状況や自治体方針に合わせ柔軟に。

– 訪問の実現性 天候・体調・突発案件で変更も。

予備枠と連絡体制を確保。

– オンライン活用 対面が基本だが、自治体運用や本人の事情によりオンライン・電話でのモニタリングを併用するケースもある(合意・記録が前提)。

– 交通費・時間管理 交通費は原則事業所負担。

移動時間は過密にせず観察・連携の余白を持つ。

– 記録の保存 法令・自治体の定める期間保存(多くは複数年)。

第三者が追える具体性と簡潔さを両立。

訪問支援(地域移行・地域定着支援等)との関係

– 相談支援専門員は原則「コーディネート役」であり、家事援助等の直接支援は行いません。

– ただし、退院・退所直後の地域定着支援では、24時間の連絡体制や必要時の訪問による安否確認・相談対応を担う事業(地域定着支援)があり、同一法人内で相談支援と連携・兼務する場合があります。

面談の骨子は上記と同様ですが、緊急対応の優先順位づけと支援強度の調整がより重要になります。

根拠(制度・ガイドライン)

– 障害者総合支援法
– 市町村が支給決定を行い、相談支援専門員がアセスメント〜計画作成〜サービス担当者会議〜モニタリング〜見直しのPDCAを担うことが制度設計上位置づけられています。

– 指定特定相談支援・障害児相談支援の人員・設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
– 記録整備・保存、個人情報保護、苦情対応、関係機関連携、モニタリングの実施等が事業運営基準として求められています。

– 計画相談支援ガイドライン(厚生労働省。

平成30年策定以降、改訂継続)
– 本人中心の支援、意思決定支援の具体、PDCAの徹底、モニタリングの視点(生活全般・目標進捗・サービスの妥当性・リスク評価)、必要に応じたサービス担当者会議の再開催等が明記。

モニタリングは対面での実施が望ましく、本人の居宅等での観察を伴うことが効果的とされています。

– 頻度は「定期的に実施」し、支給決定更新や生活状況変化時には見直し必須。

多くの自治体運用で少なくとも6か月に1回程度(障害児はより短いスパンを推奨する運用もあり)を目安としています。

– 令和6年度(2024年度)障害福祉サービス等報酬改定関係通知・Q&A
– 計画相談支援の質の確保(アセスメントの充実、モニタリングの適正化、意思決定支援の強化、必要時の会議開催)に関する留意事項が示されています。

– 障害者虐待防止法
– 福祉・医療等の関係者には虐待が疑われる場合の通報義務が課せられ、モニタリング時の観察・聴取での早期発見と通報・連携が求められます。

– 個人情報保護関連法令・自治体規程
– 本人同意に基づく情報共有、目的外利用の禁止、記録の適切な保存・管理が必要。

現場で「うまく回す」コツ

– 面談の構造化 導入→近況→目標→サービス→リスク→合意→次回、の型を持つ。

– 質問を具体化 抽象的な「困りごとは?」より「昨日の夕食は何を食べた?」「今週は何回通所できた?」など具体で。

– 観察と語りをセットで記録 本人の語り+客観的所見(部屋の様子、表情、帳票、出席簿)で立体的に把握。

– その場での小さな決定を積み重ねる 即日対応で達成感を共有し、動機づけを高める。

– 過密にしない 1件60分+前後移動・連絡20〜40分のバッファを確保。

緊急連絡に応答できる余地を残す。

まとめ
午後の訪問支援・モニタリング面談は、本人の生活の場での観察と本人中心の対話を通じて、サービス等利用計画の実効性を点検・微修正するプロセスです。

事前準備→導入→本人中心の聴き取りと観察→即時の調整→合意形成→迅速な記録・共有という一連の流れを、法令・ガイドラインに沿って丁寧に回すことで、支援の継続性と質が確保されます。

頻度や方法は自治体運用や個別事情により調整されますが、対面・訪問でのモニタリングの価値(生活実態の把握、リスク早期発見、本人のエンパワメント)は一貫して重視されます。

帰庁後の記録入力・計画作成・ケース会議はいつ、どのように行う?

以下は、相談支援専門員の「帰庁後」に焦点を当てた、記録入力・計画作成・ケース会議(サービス担当者会議・事業所内ケース検討)の具体的なタイミングと進め方、そして法令・通知・ガイドライン等の根拠です。

実務は事業所や自治体運用によって差があるため、標準的・実地指導で求められやすいポイントを押さえつつ解説します。

帰庁後の全体像(いつやるのか)

– 即時性が原則 訪問・面談・電話相談等の後は、当日中(遅くとも翌営業日)に記録を正式化するのが実務の標準です。

理由は、記録の正確性確保(記憶の鮮度)、情報共有の迅速化、監査(実地指導)対応の観点から「遅滞なく」記録整備が求められるためです。

– タイムブロックの典型例 
– 1600〜1700 訪問から帰庁、メモ整理、記録入力(1件15〜30分目安)
– 1700〜1800 関係機関連絡(事業所・医療・学校・就労等)と次回アポ調整
– 1800〜1900 サービス等利用計画(案)作成・修正、モニタリング整理
– 1900〜1930 事業所内ケース会議(週1回まとめて実施が多い)または利用者参加の個別会議の最終準備
– 週・月ペースでの締め管理 
– 週次 新規アセスメント案件は週内に計画(案)骨子を作成。

緊急案件は即日〜翌日に担当者会議の仮設定。

– 月次 翌月10日ごろの給付費請求締めに合わせ、前月分記録の不備ゼロ化。

市町村提出書類(計画、モニタリング結果報告等)の期日逆算で会議日程を確保。

– 半期 モニタリングや計画見直しを集中させる時期を設定(例 4月・10月前後など)、会議枠を先に押さえる。

記録入力(どのように行うか)

– 流れ 
– 帰庁直後にメモから正式記録へ。

相談受付票、訪問記録、電話記録、メール記録を案件ごとに紐付け。

– 記録の基本構造は「事実(客観)/本人の語り(主観)/アセスメント(評価)/対応・調整(実施内容)/次回アクション(期限・担当)」の順が明快。

医療・福祉で広く用いるSOAPを応用しても良い。

– 添付・根拠資料 同意書、関係機関からの情報提供文書、スクリーニングシート、アセスメント様式、議事録、サービス提供票(必要に応じ)などを記録に関連付け。

– セキュリティ 記録は事業所の相談支援ソフトやセキュアな共有サーバで管理。

持ち出し媒体禁止、アクセス権限の最小化、ログ管理。

– いつまでに 
– 原則当日中。

外出が続く日は翌営業日午前中までに確定記録。

– 品質確保 
– 重大事案(虐待疑い、医療リスク、事故等)はタイムスタンプと一次報告の履歴を残し、上長へ即時報告。

– 週1回の記録棚卸し(未確定・下書き・差し戻しをゼロ化)。

– 根拠 
– 障害者総合支援法に基づく指定特定相談支援の運営基準(厚生労働省令等)で、業務記録の作成・保存、秘密保持、個人情報の適切管理、関係機関連携が規定。

– 実地指導(指定権者による監査)で記録の整備状況、保存期間の遵守、同意書・議事録の有無が確認対象。

– 個人情報保護法に基づく適正管理。

– 具体の保存期間・様式は自治体の実地指導要綱・通知で上乗せがあるため、所轄の通知を優先。

サービス等利用計画の作成(どのように・いつ行うか)

– いつ 
– 初回(新規) 支給決定・サービス開始に間に合わせるため、アセスメント後ただちに計画(案)を作成し、本人・家族同意とサービス担当者会議を速やかに設定。

多くの事業所は帰庁後に骨子を作り、翌日以降に関係機関へ素案共有。

– 変更時 状態変化、生活環境の変動(入退院、進学・就労、同居者変更)、サービスの質・量の見直し要否が生じたときは、モニタリング結果を受けて速やかに改訂。

– 定期 モニタリングのサイクルに合わせ、概ね半期などの節目で見直し(自治体運用・報酬要件に準拠)。

– どう進めるか(標準工程) 
– 情報収集 アセスメント(ICFの視点、生活歴、強み・希望、家族状況、地域資源)、リスク評価、支援体制の棚卸し。

– ニーズ整理 本人の意向の言語化(本人の語りを尊重)。

長期目標と短期目標を設定。

– 支援方針とサービス調整 具体的サービス、頻度、役割分担、自己決定と意思決定支援の方法を明記。

– 同意形成 本人・家族の確認・署名。

必要に応じ代弁・意思決定支援を活用。

– サービス担当者会議での合意 関係者で現実的な実施可能性とリスク対応を確認。

– 文書化・交付・提出 最新版の計画を本人へ交付し、市町村へ所定様式で提出(自治体指定の様式・電子提出に従う)。

– 帰庁後の具体作業 
– アセスメントノートを計画書式に落とし込み、KPI(例 通所出席率、服薬遵守、余暇参加回数など)を明確化。

– 相手先と段取りメール(会議候補日、議題、必要資料)、本人向けわかりやすい版の作成。

– 根拠 
– 障害者総合支援法および指定特定相談支援の人員・運営基準に、サービス等利用計画の作成・交付、モニタリング・評価、関係機関連携、利用者の自己選択・自己決定の尊重が規定。

– 厚生労働省の相談支援従事者研修テキストや「相談支援の手引き」等のガイドラインで、アセスメントに基づく計画、本人中心の支援、定期的な見直しが示されている。

– 自治体の運用通知で、様式、提出期限、モニタリング頻度の解釈、加算算定要件等が具体化。

ケース会議(サービス担当者会議・事業所内ケース検討)はいつ・どう行うか

– いつ 
– 初回計画作成時(原則開催)。

サービスの整合性と実施体制を確定するため。

– 重要な変更時(状態変化、支援目標の変更、サービス量の大幅調整、リスク顕在化)。

– 定期モニタリングの節目。

特に多職種連携が鍵のケースは半期ごとに設定。

– 事業所内ケース会議は週1回・月2回などの定例枠で、難案件・倫理・リスクを共有しスーパービジョンを実施。

– 誰が参加するか 
– 本人(原則参加)・家族、相談支援専門員(司会・記録)、サービス事業所担当(居住・通所・就労・移動支援等)、医療(主治医・PSW)、教育(学校・特別支援教育コーディネーター)、就労支援機関、市町村障害福祉担当(必要時)など。

– 本人参加が難しい場合は、意思決定支援・家族/代弁者・事前ヒアリングで本人の意思を反映。

– どう進めるか 
– 事前準備 アジェンダ配布(目的、現状、課題、提案、決めたいこと)、直近データの共有(出席状況、医療情報、福祉サービス実績)。

– 会議運営 本人の希望を最初に確認→現状と課題の共有→解決策の選択肢提示→役割と期限を明確化。

リスク対策(緊急連絡網、虐待・自傷他害リスクの合意対応)を明文化。

– 議事録・合意文書 決定事項、担当、期限、次回レビュー時期を記録。

当日中(遅くとも翌営業日)に配布。

– オンライン活用 複数機関連携ではWeb会議を標準化。

個人情報保護のため、入室認証・画面共有の扱い・録画の可否を事前合意。

– 根拠 
– 運営基準で「関係機関連携」「本人の意思の尊重」「適切な計画作成・モニタリング」が求められ、担当者会議はその具体的手段。

– 実地指導で、サービス担当者会議の開催記録(出席者、議事録、本人同意)や、会議内容の計画への反映が確認される。

– 個人情報保護・守秘義務の遵守(同意書の取得、最小限共有)が必須。

実務上のコツ(帰庁後の運用を安定化)

– スロット固定 毎日1700〜1800を「記録・棚卸し」専用時間にし、緊急以外の外部電話を避ける。

週2コマを「計画作成」専用時間にブロック。

– 下書き→正式化の二段構え 訪問直後にスマホで下書き、帰庁後に正式記録化。

重要キーワードは音声メモを併用。

– 標準様式とチェックリスト 計画作成のチェックリスト(本人意思・目標・測定指標・同意・会議議事録・提出先・期限)で漏れを防止。

– ダブルチェック 難案件は上長・先輩のレビューを通し、倫理・法令の観点でリスクを低減。

– エビデンス連動 計画の目標はモニタリングで測れる指標と必ずセットにし、会議で合意しておく。

よく問われる根拠(法令・通知・指針の位置づけ)

– 法律・省令等(枠組み)
– 障害者総合支援法 相談支援(特定相談支援・一般相談支援)の位置づけ、計画相談支援の役割、本人の選択・自己決定の尊重。

– 指定特定相談支援の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令) 記録の整備・保存、秘密保持、個人情報保護、サービス等利用計画の作成・交付、定期的なモニタリング、関係機関連携等。

– 個人情報保護法 利用目的の特定、適正管理、第三者提供の制限、同意の取得等。

– 行政通知・手引き(運用)
– 厚生労働省通知・Q&A・報酬告示等 モニタリング・会議開催・加算算定要件、文書様式の考え方。

– 相談支援従事者研修テキスト、相談支援の手引き アセスメントから計画、モニタリング、本人中心の支援、ケース会議運営の実務指針。

– 自治体(指定権者)の実地指導要綱 記録保存期間、提出期限、議事録・同意書の整備水準、個人情報の管理方法などを具体化。

– 注意点
– 記録の保存年限やモニタリング頻度、会議開催の要否・手順は、年度の報酬改定や自治体通知で細部が更新・上乗せされるため、最新の所轄通知を必ず確認。

– 法令は時間帯を規定していませんが、「遅滞なく」「適切に」の趣旨から当日〜翌営業日の処理が実地指導で求められやすい実務標準です。

例 帰庁後の1日の具体イメージ

– 1620 帰庁、受診同行のメモを音声から文字化
– 1630 本日3件の面談記録を正式入力(客観・主観・評価・対応・次回)
– 1710 事業所B・医療Cへ連絡、来週の担当者会議の候補日共有
– 1730 新規ケースの計画(案)骨子作成、KPIとモニタリング時期を設定
– 1810 家族へ計画(案)のわかりやすい版を送付、同意取得の段取り
– 1830 事業所内ケース会議で難案件を共有、上長からリスク対応の助言
– 1910 議事録要点を記録へ反映、未確定記録ゼロを確認して退勤

まとめ
– 記録入力は当日中に「遅滞なく」正式化し、事実・本人の語り・評価・対応・次アクションを明確に残す。

保存・秘密保持は法令・自治体要綱に従う。

– 計画作成はアセスメントに基づく本人中心の設計が基本。

初回・変更・定期の各タイミングで迅速に素案化し、同意・会議・提出までを帰庁後の時間で着実に進める。

– ケース会議は初回・変更・節目・難案件で行い、本人参加を原則に合意形成と具体的役割分担を確定。

議事録と計画への反映を即時に行う。

– 根拠は、障害者総合支援法、指定特定相談支援の運営基準、省令・通知類、相談支援の手引き、個人情報保護法、自治体の実地指導要綱等。

詳細運用は最新の自治体通知に従う。

上記をベースに、事業所の勤務体制や自治体の提出期限に合わせてタイムブロックを固定化すると、帰庁後の「記録・計画・会議」が滞りなく回り、実地指導でも評価される運用になります。

繁忙日の残業対策やワークライフバランスはどう確保する?

ご質問の「相談支援専門員の繁忙日の残業対策やワークライフバランス(WLB)の確保」について、現場で実効性の高い方法を、個人の時間術・業務プロセス設計・組織運用・法令の観点から整理します。

最後に根拠もまとめます。

1) 残業が発生しやすい要因の可視化
– 月末月初の業務集中(実績確認、計画更新、提出期限、給付管理のとりまとめ)
– 緊急対応(入退院、虐待・自傷他害リスク、家族崩壊など)による割り込み
– 多機関連携の調整負荷(医療・教育・就労・行政の会議設定や情報整合)
– 訪問・移動時間の過多と動線の非効率
– 記録や同意書管理が後ろ倒しになり“夜に溜まる”
対策の基本は「①定常作業の標準化と前倒し」「②突発対応のトリアージ」「③移動・記録の削減と即時化」の3本柱です。

2) 個人でできる繁忙日タイムマネジメント
– 前日5分の段取り
翌日の案件ごとに「目的・成功条件・必要資料」を1行でメモ。

所要時間と優先度(A緊急/期限、B重要、C後回し)を仮見積り。

– 朝イチのトリアージ
A(命・安全・期限)→B(計画更新・会議)→C(情報収集等)の順で確定。

A枠は午前中に配置。

– Timeboxingの徹底
面談60分+その場で記録15分+移動30分をひとかたまりに。

半日につきバッファ30分。

17時以降は新規タスク着手禁止(持ち帰らない前提を制度化)。

– 記録は「現場完結」
面談終了の最後15分は「まとめ時間」に固定。

要約、次回目標、関係者ToDoをその場で確認し、音声入力やテンプレで記録を90%まで完成。

残り10%は事務所で清書。

– 連絡ウィンドウの固定
電話・メール対応は1130と1600の2回など“まとめて処理”。

着信は要件・期限でトリアージし、緊急基準に該当しなければ予約枠に誘導。

– 動線最適化
同一エリアの訪問を同日に集約。

地図アプリでルート最適化、公共交通・駐車の事前確認。

移動中の隙間を電話面談や記録校正に活用。

3) 業務プロセス・ICTによる効率化
– 標準化パックの整備
アセスメント、モニタリング、サービス担当者会議の議事録、同意書、チェックリスト、定型文(ケース要約・支援方針・リスク評価)を用意。

– 受付と優先度の見える化
新規は待機リスト+優先度基準(虐待・医療リスク・住居喪失など)。

定員超過時は中長期支援へ切替・他機関連携を提案し、引き受け条件を明確化。

– 事務日と外勤日の分離
週に1日「事務集中日」を設定。

月内の計画更新や給付管理は内部の締切を法定期限より早く設け、ダブルチェックで手戻りを防止。

– 記録・共有のデジタル一元化
クラウド型記録、電子回覧、オンライン会議を活用。

二重記録(紙+Excel等)を排除。

音声入力・辞書登録で記録スピードを底上げ。

– 連携の定例化
病院・学校・事業所・行政との「定例連絡枠」を作り、臨時の電話応酬を削減。

議題フォームを事前共有して会議時間を短縮。

4) 組織運用・制度で残業を減らす
– 標準担当件数とWIP制限
担当上限を設定し、週次で稼働可視化(案件数・難易度・移動時間)。

逼迫時は所内で一時分担・後方支援(書類作成・電話代行)を回す。

– 当番制と「つながらない時間」
緊急電話は当番制。

業務用携帯は営業時間外は留守電+翌営業日の折返し。

夜間・休日対応は基準を明文化し、手当と振替休日を付与。

– 勤務制度の整備
フレックスタイム、在宅での記録時間(情報セキュリティ対策付き)、勤務間インターバル(例 終業から次の始業まで原則11時間)を導入。

– スーパービジョン/カンファレンス
週1回30〜60分のケース・感情の棚卸し。

判断の負荷をチームで分散し、個人の長時間労働化を予防。

5) 繁忙日の具体スケジュール例(モデル)
– 830−845 予実確認、A/B/Cトリアージ、関係機関へ先手連絡
– 900−1015 訪問1(60分+記録15分)
– 1030−1145 訪問2(同上)
– 1145−1215 連絡ウィンドウ1(電話・メール)
– 1315−1430 会議・同行支援(記録15分含む)
– 1445−1600 訪問3(同上)
– 1600−1630 連絡ウィンドウ2(翌日以降へ割振り)
– 1630−1715 給付・計画の更新、ダブルチェック
– 1715−1730 日報・明日の準備、退勤
ポイントは「面談→記録→次の移動」を1セット化し、記録の後回しをなくすこと。

緊急の割込みはバッファ内で処理し、溢れた場合は当番・管理者へエスカレーションします。

6) WLBの核心(休養・裁量・成長)
– 休養 年5日の年休は必ず取得。

繁忙期の翌週に計画年休を先置きし、代休は1週間以内に取得。

– 裁量 週に1コマ「集中の無会議枠」を固定。

夜のメールは予約送信にし、私生活時間に“職務が侵食しない工夫”を徹底。

– 成長 月1回の学習・事例検討を業務内に組み込み、属人化を解消。

テンプレ改善は「現場の声」を反映して継続的にアップデート。

7) 測定と改善(KPI例)
– 当日記録率(当日内に記録完了した面談の割合)目標80〜90%
– 1件あたり記録時間、移動時間比率(全労働時間のうち移動の占める割合)
– 残業時間(平均・偏り)、1730退社率、勤務間インターバル達成率
– 緊急出動件数・要因(予防可能/不可の区分)
– 年休取得率、ストレスチェック高ストレス者率、離職率
KPIは週次で可視化し、ボトルネック(特定の曜日・書類・連携先)に対策を打ちます。

8) 根拠(エビデンス・法令・ガイドライン)
– 労働時間の上限規制(働き方改革関連法)
36協定の上限は通常「月45時間・年360時間」。

特別条項でも「年720時間(休日除く)、単月100時間未満(休日含む)、2〜6か月平均80時間以内(休日含む)、月45時間超は年6か月まで」という枠があります。

法定上限内での運用は組織の必須条件です(厚生労働省「時間外労働の上限規制」)。

– 年5日の年次有給休暇取得義務
10日以上の年休が付与される労働者には、年5日の時季指定取得が使用者に義務付けられています(労基法第39条)。

計画年休や勤務表での先置きはWLB確保の実務的根拠。

– 勤務間インターバル制度
終業から始業まで一定の休息時間を設ける制度は、厚労省が普及を促進。

医学的にも疲労回復と過労予防に資するエビデンスがあり、11時間程度が推奨目安として広く用いられています(同省の普及指針・助成制度)。

– テレワーク・在宅勤務のガイドライン
厚労省「テレワークの適切な導入・実施のためのガイドライン」は、労働時間管理・セキュリティ・私生活との調和の観点を示し、在宅での記録や会議の適正化に根拠を与えます。

– 介護・福祉分野の生産性向上ガイドライン/事例集
介護現場の実証では、記録の電子化・音声入力・情報共有の一元化により記録・申し送り時間が約2〜3割削減された事例が多数報告されています(厚労省 作業改善・ICT活用の事例集等)。

相談支援も同様の文書業務が多く、横展開の合理性があります。

– メンタルヘルス対策
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」やストレスチェック制度(事業場50人以上)により、長時間労働の抑制、面接指導、一次予防(業務量・裁量の見直し)の重要性が示されています。

– ケースマネジメントの標準実務
面接の目的明確化・記録の即時性・多機関連携の計画性は、社会福祉実践の基礎原則として国研修やテキストで一貫して強調されており、業務の「現場完結」や会議の定例化は質と効率の双方に資する合理的手法です。

まとめ
– 繁忙日の残業削減は、個人の時間術だけでなく「プロセスの標準化」「受付・優先度運用」「勤務制度」「KPIによる継続改善」の総合戦で達成されます。

– 法令(上限規制・年休義務)を土台に、勤務間インターバルや当番制、ICTによる即時記録と二重記録の排除を組み合わせると、残業は着実に減り、WLBは改善します。

– 「面談60分+現場記録15分」の徹底と、1日2回の連絡ウィンドウ、事務日・外勤日の分離は効果が高い即効策です。

– 最後に、繁忙期の前倒し(内部締切)とチームの相互援助(当番・後方支援)を制度化することで、突発案件にも“壊れない仕組み”を作れます。

必要であれば、事業所の現行フローを拝見し、テンプレ・チェックリスト・週次KPIダッシュボードの雛形をご提案します。

【要約】
管理者の設置と、資格要件を満たす相談支援専門員の配置(研修受講・主任相談支援専門員の指導体制)。相談室等の必要設備、個人情報保護と記録整備、運営規程・重要事項説明・苦情解決。地域連携・協議会参加、モニタリング等の適正実施、事故・虐待等の報告、感染症・災害対策、自己点検・情報公表等を定める。利用者本位・権利擁護、支給決定との連動、費用徴収の適正、非常災害時の体制、秘密保持、実地指導・指定更新など。